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ハイパーカジュアルゲームのプロトタイプ開発における重要な4つのポイント

ハイパーカジュアルゲームのヒット作を生み出すまでには、いくつもの課題を乗り越えなければなりません。ハイパーカジュアルゲームの開発経験が乏しければ、不安は一際大きいでしょう。以前の記事で既に述べたように、ハイパーカジュアルゲームとは、詰まるところ、大手パブリッシャーが手掛けるAAAゲームのミニ版です。よって、これらの大手ゲームスタジオと同様の取り組みを行う必要があります。

ハイパーカジュアルゲームの最大の特徴は、気軽に楽しむことができるという点にあります(だからといって設計や開発が容易であるとは限りません)。そこで必要以上の資金や時間を投資する前の段階で、そのゲームが気軽に楽しめるものであるかを判断することを目的としたプロトタイプを開発することが一般的となっています。プロトタイプの評価が芳しくなければ、また新たなコンセプトの具現化に取り組めば良いだけの話です。

今回は、このプロトタイプの開発において重要なポイントを4つにまとめてみました。

1. 即時性 - ユーザーは待ってくれない

ハイパーカジュアルゲーム市場がここまで拡大した大きな理由のひとつとして、「訴求のわかりやすさ」が挙げられます。おやつ感覚のように短時間で断続的に消費できるコンテンツのため、本質的な時間が重要になります。よって、ゲーム開始直後から即座にプレイできる環境を整備しなければなりません。ゲームの本質であるゲームプレイ以外のレベル進行、メタゲーム、広告といったその他の要素は後の段階で表示すべきです。

即時性は、ゲーム操作に対する画面上の反応においても求められます。コントロール操作をできる限りシンプルかつ円滑にし、プレイヤーがゲームの初回起動時に最初に操作するクリック、タップ、スライドといった操作に対し、直ちに画面上のアクションとして反映させることが重要です。この要件を十二分に満たしたアプリの一つが、プレイヤーが動きながら二丁拳銃を撃ちまくる「Bullet Rush(弾丸ラッシュ)」です。またバケツから溢れ出す限界直前までポップコーンを入れる「Popcorn Burst(はじけるポップコーン)」も好例と言えるでしょう。指で掘ってボールをカップに誘導する「Dig This」や「Sand Balls」も、ユーザーに直感的な達成感を提供するゲームとなっています。

2. 演出 - 遊び心と寛容さ

即座にゲーム体験を提供することが重要であると既に述べましたが、そのゲーム体験が価値あるものでなければ意味がありません。ゲームのプレイを継続してもらうには、ユーザーの負担と、その末に得ることができる成果を釣り合わせる必要があります。一般的なランナーゲームを例に取りましょう。ゲームのコンセプト自体の魅力は限定的ですが、横スクロール型ゲームのような限定的なアドベンチャー要素と組み合わせることで、ユーザーは異なるメカニックを持つユニットを操作できるようなレイヤーを増やせるかもしれません。

例えば「Samurai Flash」では、プレイヤーはキャラクターの動きだけでなく、時間も合わせて制御することができます。キャラクターを動かさなければ敵も動かないので、一回当たりのゲーム体験の長さを自由に調整できます。そのうえ、操作の素早さに応じてゲーム内のスピードも変化するので、素早く操作すれば演出のスピードが上がり、ゆっくり操作すれば演出はスローモーションになります。また「Bullet Rush」では、キャラクターを縦横無尽かつ緩急自在に操作することができます。さらにプレイヤーがスクリーン上から指を放せば、オート射撃や範囲攻撃を行うことが可能です。

さらに効果的な演出手法として、ある一定の段階に達したプレイヤーに対して特典を提供するフィーバーシステムがあります。ユーザーからは隠されたマイルストーンや目標を達成した際に一時的な特典を付与することで、演出を創出することができます。ただし、過剰な利用は禁物です。例えばスクリーン画面から指を離すことなく継続的にプレイしているユーザーが、あるレベルを巧みにクリアした際など、一定の条件を満たした場合のみに提供すべきです。「Spiral Roll」や「Stackball 3D」ではこのような設計の下でフィーバーを活用しています。言い換えれば、一定の段階に達したらリワードを提供する環境を整備することが、フィーバーを活用するための前提条件となります。

3. ミニマリズム - 短いゲームプレイ時間では最大限の集中を

ゲームデザイナーにとっては耳の痛い話かもしれませんが、主要ではない環境要素を盛り込み過ぎてしまったハイパーカジュアルゲームは成功しません。開発作業時間を無駄に費やすことになるだけでなく、ゲーム体験の邪魔にすらなります。コアゲームに比べれば実施規模は小さいかもしれませんが、ともかく環境要素をホワイトボックス化し、そのコンセプトが機能するかをきちんと検証する必要があります。環境要素はゲームプレイを促進させるためにあるので、正しく利用しなければいけません。

またキャラクターにもシンプルさが求められます。今日に至るまでゲームアプリで棒人間のイラストが重宝されているのは、詳細を描く必要なく、また余分な情報量を削った上で人間を描いているということが明白だからです。より複雑なキャラクターと比べた場合、ぱっと見は見劣りしますが、ミニマリズムの追求という目的には叶います。「Bazooka Boy」「Join Clash」「Cube Surfer」などのタイトルが好例です。ただ棒人間が乱用されがちであることも否めず、棒人間以外のミニマリズムモデルを模索することにより、ハイパーカジュアル全体においてこの領域における刷新ができると思います。この領域が今後どのように進化していくか、非常に興味深いです。

4. ゲームプレイ第一 - ストーリーに執着しない

ゲームのストーリー性を表現するよりも、ゲーム体験を明確に表現できるということが何よりも重要です。つまりどんなゲームであり、どのような操作が必要で、どんなルールがあり、レベルが上がるごとに何が起きるか、そしてどんなジャンルなのかといったことを説明できなければなりません。それ以外の情報はあくまで補足的な位置づけとなり、ゲーム体験自体への影響は限定的です。ゲームのストーリー構築に余分な時間を割くのは避けましょう。

「Xをすると、Yが起きて、Zを得ることができる」ということを明確に説明できるのが理想的です。例えば「砂浜を舞台に2つのキャラクターがフリスビーを楽しむ」と伝えるよりは、「キャラクターを動かして軌道を調整し、発射すると様々な成果を得ることができる」と表現する方が望ましいと言えます。

つまりプレイヤーが行う動作を動詞で表現できることが大切なのです。ハイパーカジュアルゲームにおいては、ストーリーや舞台といった要素はそれほど重要ではありません。ただもちろん例外もあります。「Save the Girl!(女の子を救え!)」はストーリーがゲーム体験の重要な一部となっています。

自社のチームやパブリッシャー向けに説明資料を用意する際には以上の点を踏まえましょう。簡潔にゲーム内容を訴求し、売り込むという点においてはゲームの広告動画と同じ方法になります。端的に説明できないのであれば、何を省略すべきかを検討する必要があります。

ゲーム開発からローンチまでの期間が1カ月程度というのが一般的な業界では、迅速かつ明確な判断を下す必要があります。開発者である自分自身だけでなく、どんな人にも選択したテーマが理解できなければいけません。そのために早期にゲームのマーケタビリティを検証するためのプロトタイプを制作するのです。マーケタビリティのテストの結果が悪ければ、失敗の要因を分析した上で、早々に見切りをつけて次のタイトルへ移る覚悟が必要です。

(作者:トム・ゲラー、ゲームデザイナー主任、Supersonic)

 

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