2017年に設立されたFuncell Gamesは、インドに拠点を置くゲームスタジオです。この7年間で30本のゲームをリリースし、累計3億回以上のインストールを記録しています。彼らの最新作「Trash Tycoon」は、ハイブリッドカジュアルの放置系シミュレーションゲームです。
リリースから数カ月しか経っていないにもかかわらず、「Trash Tycoon」はすでにアプリ内課金(IAP)や動画リワード広告(RV)を活用し、Funcellにとって大きな収益を生み出しています。
では、FuncellがどのようにSupersonicと協力して「Trash Tycoon」をハイブリッドカジュアルのヒット作へと導いたのかを詳しく見ていきましょう。
掃除は楽しい!
「Trash Tycoon」の着想は、掃除の楽しさと満足感から生まれました。ある日、Funcellの開発者の一人が自宅を掃除していた際に、部屋がきれいになっていく過程がとても満足感のある体験であると気付きました。このインスピレーションを元に、プレイヤーがゴミだらけの街を掃除するゲームのアイデアを考案したのです。
テスト段階で、この「掃除の満足感」というコンセプトは有効であることが証明されました。プレイヤーは、街がきれいになっていく視覚的な変化を好意的に受け止めました。そのため、ゲームを設計するうえで、「プレイヤーが掃除を進めることで街がきれいになり、その変化が持続する」ことを最優先事項としました。
しかし、初期バージョンのゲームはシンプルすぎたため、リテンション(継続率)が低いという課題がありました。マーケタビリティ(市場適合性)テストの結果は、ゲームの完成度を考慮すると悪くはありませんでしたが、ローンチに踏み切るほど強力なものではありませんでした。また、多くのユーザーがゲームを短時間でクリアしてしまうという問題もあり、より長く楽しめるゲーム設計が必要でした。そこでFuncellはSupersonicと提携し、この有望なコンセプトをヒット作へと成長させることを決意しました。
ゴミを宝に変える
Funcellの15名のチームと、Supersonicのゲームデザイナーおよびスタジオマネージャーが協力し、ゲームの改良とリテンション向上に取り組みました。彼らは毎日ブレインストーミングを行い、開発者とSupersonicのチームメンバーがアイデアを出し合いました。
また、類似するタイトルを分析し、他のスタジオがどのような施策を行っているのかを調査しました。その中で、多くの放置系シミュレーションゲームがIAPやRVのコンバージョンを促進するために「遅延報酬(Delayed Gratification)」の手法を活用していることを発見しました。この手法では、プレイヤーがゲーム内のアップグレードの効果を得るまでに長時間待たされるが、課金や広告視聴をすることで即時にアップグレードできるというものです。しかし、この手法には「課金や待機を強制することで、リテンションを損なうリスクがある」という欠点もありました。
そこでFuncellとSupersonicのチームは、異なるアプローチを採用することにしました。それが「継続的進行(Constant Progression)」です。
「Trash Tycoon」のリテンションを向上させるために、プレイヤーが常に何かしらのアクションを行えるような設計にしました。例えば、拠点のアップグレードを行う際、プレイヤーがレベル2に到達するまで長時間待たされるのではなく、短時間で実行可能な小さなアップグレードを複数回行う仕組みに変更しました。これにより、プレイヤーは常にゲーム内での操作を継続しやすくなり、エンゲージメントが向上しました。
ゲームの進行システムを改善している間に、FuncellとSupersonicのチームは「遅延報酬」を活用しながらもプレイヤーの体験を損なわない、独自の「プレッシャーポイント(Pressure Point)」を発見しました。
プレッシャーポイントの活用
「Trash Tycoon」の基本的なゲームメカニクスは、プレイヤーがゴミ収集トラックを管理し、清掃ミッションを達成することで街をきれいにしていくというものです。プレイヤーはミッションをクリアすることで報酬を獲得し、トラックや拠点のアップグレードに活用できます。
ゲームの中盤から後半にかけて、プレイヤーはより多くのトラックを必要とします。しかし、トラックの数が増えるほど、ゴミを処理場に運ぶ際の待ち時間が長くなります。ここで「遅延報酬」を活用し、プレイヤーが課金や広告視聴によって待ち時間を短縮できる仕組みを導入しました。これにより、プレイヤーが自然な流れでIAPやRVを利用するようになりました。
ゲーム内経済のバランス調整
Funcellはゲームのコンテンツに関して明確なビジョンを持っていましたが、プレッシャーポイントや進行システムを変更したことで、ゲーム内の経済バランスを大幅に見直す必要がありました。
Supersonicはこれをサポートするため、ゲーム経済の専門家とAIコンサルティング会社の協力を得て、ゲーム内経済の調整を行いました。最大の課題は、新しい進行システムに適したRVの配置でしたが、最適なRVの導入ポイントを見つけることで、リテンションを損なうことなく収益化の向上を実現しました。
ユーザー体験の向上
Supersonicはユーザー体験の向上にも貢献しました。新しいチュートリアルを作成し、ゲーム内ストアの改善、IAP価格の最適化、UIの明確化などを実施しました。
これらの変更により、「Trash Tycoon」のリテンション率は大幅に向上し、D7リテンションのハイブリッドゲーム基準を超える成果を達成しました。さらに、IAPの割合は45%に達し、D7の平均プレイ時間(APPU)は167分に到達しました。
Supersonicとのスケール戦略
ゲームがスケール可能な状態になったことで、Supersonicは専属のデータアナリストを配置し、ゲームのあらゆるポイントを分析しました。さらに、最適化のための専用ダッシュボードを構築し、継続的な改善をサポートしました。
また、Supersonicのクリエイティブチームが作成した広告クリエイティブがユーザー獲得に大きく貢献し、そのいくつかはゲームプレイのロードマップにも組み込まれることになりました。
FuncellとSupersonicは今後も「Trash Tycoon」のさらなる成功を目指し、新しいサブスクリプションモデルや機能の追加を予定しています。
Let's put these tips to good use
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