プレイヤーがゲームに抱く第一印象は、重要であるだけでなく、すべてを左右します。優れた初回ユーザー体験(FTUE:First Time User Experience)は、単なる一度のダウンロードで終わるか、長期的なエンゲージメントにつながるかの分岐点となります。
FTUEは、プレイヤーがコアメカニクスを理解し、ゲームプレイを楽しみ、再びプレイするかどうかを決める基盤を築きます。これをうまく設計すれば、プレイヤーとの強いつながりを構築できます。しかし、適切でなければ、どんなに優れたゲームでも本領を発揮する前に見放されてしまう可能性があります。
ここでは、プレイヤーを引きつけ、夢中にさせ、リピートプレイを促すFTUEを最適化する7つの方法をご紹介します。
1. マッピングから始める
FTUEを設計する際は、まずプレイヤーに教えたいことをすべて整理し、リストアップしましょう。プレイヤーがゲームをマスターし、楽しむために必要な要素を明確にします。ただし、リストはシンプルかつ焦点を絞ることが重要です。オンボーディングが複雑すぎたり曖昧すぎたりすると、離脱率が上がるリスクがあります。
また、FTUEはプレイヤーの心理を考慮することも大切です。プレイヤーにどのような感情を抱かせたいのかを考えましょう。例えば、素早く達成感を得られる体験を提供するのか、それとも、挑戦や試行錯誤を通じて成長を感じさせるのか、ゲームのコンセプトに合わせて設計します。
2. 最初のタップから楽しさを提供する
プレイヤーに長々とした説明を読ませるのではなく、できるだけ早くゲームのコアメカニクスを体験できるようにしましょう。遊びながら直感的に理解できるような構成が理想的です。
また、報酬を早い段階で提供することが重要です。報酬はプレイヤーのモチベーションを高め、満足感を生み出します。例えば、あるアクションを完了することで達成感が得られるような演出を加えると、プレイヤーはゲームに引き込まれやすくなります。
Trash Tycoonでは、Supersonicチームがダンプ場のアンロックという単純な動作を、楽しくやりがいのある瞬間へと変えました。明確な指示、魅力的な報酬、そして紙吹雪の演出を追加することで、ミッションの仕組みを教えながら、プレイヤーがタップするたびに満足感を得られるようにしました。
3. ストーリーを取り入れる
プレイヤーはストーリーに共感すると、ゲームへの没入感が増します。 そのため、チュートリアルにも物語を組み込むことが効果的です。
例えば、シンプルなパズルゲームであっても、「なぜプレイヤーがこのアクションをするのか」という背景を設定するだけで、より魅力的な体験を提供できます。「この家を修理して!」というキャラクターのセリフは、単なる「ここをタップしてください」という指示よりも、プレイヤーに感情的なつながりを生み出します。
キャラクターの導入も有効です。 ゲーム内に親しみやすいキャラクターが登場することで、プレイヤーの関心を引き、より深くゲームに没入するきっかけとなります。
Trash Tycoonでは、開発者がSupersonicチームと協力し、プレイヤーを引き込み、感情的に没入させる魅力的なストーリーを作り上げました。以下は、その実例です。
4. ゲームメカニクスを段階的に導入する
新しいゲームメカニクスをFTUEに導入する際は、シンプルにし、段階的に展開することでプレイヤーが圧倒されないようにしましょう。ハードコアゲームのようにFTUEのセッションが長くなるものとは異なり、ハイブリッドカジュアルゲームのチュートリアルは、シンプルで分かりやすいものであるべきです。重要なのは、メカニクスを小さなステップに分解し、プレイヤーを引きつけつつも、指示が多すぎて負担に感じさせないようにすることです。
UIについても同様です。一度に多くのボタンを表示してプレイヤーを圧倒するのではなく、新しいメカニクスが導入されるタイミングで少しずつ追加していきましょう。ナビゲーションは直感的にし、タップを促す指のアイコンや矢印などの視覚的なヒントを活用して、プレイヤーが迷わないように設計することが重要です。何よりも、常に目的を明確にしておくことが大切です。プレイヤーが混乱したり、進行方向を見失ったりすると、すぐに離脱してしまう可能性があります。
Trash Tycoonでは、メカニクスの切り替えが速すぎたためにプレイヤーが圧倒され、チュートリアル中に60%*が離脱するという課題がありました。これに対応するため、Supersonicチームは新しい要素を段階的に導入することを優先しました。その結果、プレイヤーはFTUEの開始時にまず「ゴミのリサイクルサイクル」の基本を習得し、トラック、ゴミ捨て場、焼却炉を使うプレイを行います。そして、この基本的なゲームループを十分に理解した段階で、次のループへと進む仕組みに変更されました。さらに、各主要レベルのアンロック時には、それぞれに焦点を当てたチュートリアルが用意され、プレイヤーが情報過多にならず、各メカニクスをしっかりと理解しながら進められるようになっています。新しいチュートリアルでは、プレイヤーに新しいUI要素が追加され、その中でバーを調整する必要があることを示す構成になっています。
5. 難易度と進行のバランスを取る
6. データに基づいた改善を行う
データは強力なFTUEを構築する基盤となり、プレイヤーの行動をクリックやステップごとに分析することで、問題点を特定し、イベントの最適化やリテンションの向上に役立ちます。チュートリアルのどの時点で離脱が発生しているか、プレイヤーがゲームのメカニクスにどれくらい早く適応しているか、初回プレイ後にどの割合のプレイヤーが再訪しているかといったデータを活用し、FTUEの最適化を進めましょう。
また、すべてのプレイヤーに同じチュートリアルを提供することで、データ分析の精度が向上し、より正確なインサイトを得ることができます。つまり、チュートリアルの段階では、ユーザーをセグメント化する必要はありません。
さらに、A/Bテストを活用することで、プレイヤーのエンゲージメントを高める要素や離脱の原因をより深く理解できます。たとえば、チュートリアルのステップを1つ削除したり、1回のクリックを減らすだけでも、プレイヤーの定着率に大きな影響を与える可能性があります。
7. 報酬をバランスよく提供する
FTUEにおいて、ゲーム内経済のバランスを適切に保つことが重要です。プレイヤーに十分な報酬を与えて楽しませる一方で、過剰に通貨を配布しすぎないように注意しましょう。また、通貨や報酬は戦略的に導入し、段階的にわかりやすく提供することで、プレイヤーが自信を持ってゲームを進められるようにすることが大切です。
プレイヤーは報酬を得て満足感を感じるべきですが、圧倒されてしまってはいけません。進行を楽しく感じさせながら、自然に課金を促すのが理想です。例えば、プレイヤーが通貨不足を感じるタイミングを作ることで、ゲームを続ける動機を与えたり、購入を促したりすることができます。
さらに、各通貨の価値をプレイヤーに正しく理解させることも重要です。チュートリアルの段階で過剰に通貨を配布してしまうと、その価値が薄れてしまい、結果としてゲーム内購入の意欲を下げる可能性があります。そのため、エコノミーチームやゲームデザイナーと連携し、最適な戦略を練ることが不可欠です。
最終的に、優れたFTUEは単なる付加価値ではなく、エンゲージメントを高め、長期的なリテンションを促進するために不可欠な要素です。初回のプレイで強い印象を与え、プレイヤーを早期に引き込み、感情的に没入させることで、ゲーム全体の体験をより魅力的なものにすることができます。
*データはSupersonicのビジネスインテリジェンスより取得
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