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ハイパーカジュアルゲームで成功を収めるのは容易ではありません。ヒット作を生み出すには、ユーザーを楽しませ、継続してプレイさせるようなゲームデザインを深く研究する必要があります。

試しに過去1年間にヒットしたゲームタイトルの上位100作品にざっと目を通してみてください。近年のトレンドがすぐにでも把握できるはずです。ただし、長期的な成功を目指すとなると途端に難しくなります。例えば半年ほど前まで、Woodturning 3DやInk incといった、ソーシャルメディア上の流行を踏まえたシミュレーションゲームが人気を集めていました。これらのゲームの人気はすぐに下火になりましたが、最近ではまた新たなソーシャルメディア上の流行を反映したシミュレーションゲームが登場しています。絞り染めの模様を写した映像を参考にしたと思われるTie Dye やTie N Dyeといったゲームがその好例です。これらの経過を見る限りにおいて、ソーシャルメディアの流行を反映したシミュレーションゲームが人気を集めることは確かである一方、その流行期間は比較的短いということが分かります。

ハイパーカジュアルゲームは、高額予算が投じられた大作ビデオゲームの超ミニ版であるとも言われています。そうであるならば、ハイパーカジュアルゲームの開発には、大手ゲームスタジオのゲーム開発方式が参考になるはずです。それら大手ゲームスタジオは、カメラ、コントロール、キャラクターの頭文字を取った「3C」を重視しています。ハイパーカジュアルゲームではこの3Cがゲーム設計だけでなく、トレンド分析にも活用できます。長期的な成功を収めたゲームは、3Cにおけるそれぞれの要素の成功事例を踏まえている場合が多いためです。

1. カメラ: ゲームにおけるユーザーの視点

スマートフォン画面上にゲーム世界をどのように投影するかは非常に重要な課題です。ラン系ゲームを例に解説しましょう。誰もが知っているようなヒット作の多くが、縦長の簡素なゲーム世界で展開されています。また方向感覚を得られるようにゲーム世界に配置された各要素の角度が調整されているため、ユーザーは自身が今どの位置にいて、どこに向かっているかを容易に把握することができます。キャラクターと画面の動きを直接的に制御することはできないので、プレーヤーは必死にならざるを得ません。さらに興味深いのは、ゲーム世界自体は動くにも関わらず、ユーザーの視点は一定のままということです。このようなゲーム世界の投影方法であれば、人々がスマートフォンの一般的な機能を操作する際と変わらない持ち方のままでゲームに興じることができます。各ゲームタイトルによってキャラクターやゲーム世界が動く角度は若干異なるものの、コンセプトは同じです。ただし、投影方法をただ真似すれば良いわけではなく、ゲーム体験そのものが優れている必要があることは言うまでもありません。

その他人気の投影方法としては、SandwichやMatch 3Dなどの一つの画面内に設置されたパズルゲームや、Johnny TriggerやSquare Birdなどの画面左から右に向かって移動する形式が挙げられます。

ヒットチャートの中に、これら特定の投影方法を用いたゲームがどれほどあるかを調べてみましょう。そして共通項を探り出す一方で、それぞれのゲーム固有の魅力を最大限にするために各形式をいかに活用または変更しているかを分析するのです。

2. 操作方法をマスターする

最近人気を集めたハイパーカジュアルゲームには、キャラクターまたは物体を移動または持ち上げたり手放したりといった操作をするために、スマートフォンの画面上に手指を置き続けなければならないものが多くあります。このような形式は、より複雑なゲーム設計を可能にします。スマートフォンをジョイスティックのように操作することで、ゲームに絶え間ない動きをもたらすことができるからです。また絶えず操作をすることで、プレーヤーはゲームにより熱中しやすくなります。

3. キャラクターの動き:サブジャンルへの分類 

一口にハイパーカジュアルゲームといっても様々な種類があり、それらはいくつかの細かいサブジャンルへと分類することができます。例えばミニマルアドベンチャーというジャンルは、さらに3つのサブジャンルへと分かれます。

 

1ボタン、フリーナビゲーションなし、慣性 

このサブジャンルの最大の特徴はシンプルさです。一般的には画面タップなど1種類の操作を通じて一定の方向にキャラクターを動かすことができます。キャラクターが常に動いているので視覚的に楽しく、またアバターに向けて様々なアイテムが迫ってくる形式がプレーヤーを楽しませます。

1ボタン、継続的な操作、フリーナビゲーション

アドベンチャーゲームのサブジャンルとなるこの分野では、プレーヤーはタップなどを通じてキャラクターを自由に動かすことができます。通常は操作のために手指を常に画面上に置く必要があり、画面上の360度にわたってキャラクターを動かすことが可能で、またその動きの速度を自由に調整できることに特徴があります。

競争、タイミング、キャラクターナビゲーションなし

ナビゲーション機能のないゲームの発展形として、プレーヤーがAIやbotとの競争を繰り広げるタイプが挙げられます。Draw ClimberやWheel Scaleといったゲームが代表例です。プレーヤーは画面の動きに応じて表示される直線状の道で競争します。このようなゲームでは一般的に「道を曲がる」といった操作を行うことができません。予め決められた進行方向へと進む動きだけでゲームが成立し、またそのシンプルさがハイパーカジュアルゲームには最適だからです。この種のゲームは、AIという競争相手が存在するという意味でマルチプレーヤーゲームとして位置付けることもできるでしょう。

 

さらにはパズルゲームにも特有の人気サブジャンルがあります。

単純配列、解決方法が一つのみ

このサブジャンルでは、プレーヤーがパズルを解く方法は一つのみ用意されています。つまりプレーヤーは、デベロッパーが予め設定した特定の順番通りにアクションを取ることでパズルを解くことができるのです。Rescue Cut やPull the Pinなどがこのカテゴリーに相当します。

フレキシブル、解決方法が複数

こちらのジャンルでは、プレーヤーに対してより多くの選択肢が用意されています。パズルの解き方が一つとは限りません。代表的なのは、Park MasterやSand Ballsといったゲームです。


世の中に多数存在しているトレンドをうまく利用すれば、短期的なヒットを生み出すことは、そう難しくないかもしれません。ただし、長期的なヒットを作り上げるにはデベロッパーがゲームプレイの基礎を深く理解することが必要です。

Let's put these tips to good use

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